ブログ

年末年始は受験生とともに

2023.1.10

 明けましておめでとうございます。今年の正月は、日本全国とは言えないまでも、多くの地域で稀に見る好天続きでしたが、皆さん、どのようなお正月をお迎えになりましたか。

年末年始は受験生とともに

実はわたしは、久方ぶりに高校受験をする受験生とともにあるお正月、いや年末年始でした。当法人がキャリア塾を行っているTeach for FUKUOKA(学習塾)で、現在、私立専願入試、公立推薦入試、そして昨年より福岡の公立高校で始まった特色化入試の受験生に対して、志願理由書の書き方や面接の受け方などのレクチャーを行い、実際に模擬面接指導を行なっています。そのため、年末も30日まで、年明けは3日から模擬面接指導を担当しました。教員時代を思い出しても年末年始にこんなに働いたことはありません(笑)。

なかなか経験できないことを経験したのですが、受験生たちは目の前の受験に対して一生懸命取り組んでおり、TfFに行けば、年末、お正月の雰囲気は全くありません。この光景が良いのか悪いのか、判断はいろいろあるでしょうが、当の受験生本人たちは大真面目に取り組んでいるのです。その姿に応援したい、サポートしたいというおじさんの心がくすぐられ、結構楽しんで行っています。

また、それだけではなく、志願理由書作成・面接指導にあたることで日本の教育的なキャリア的な課題も感じ取ることができました。

まず、一つ目は、生徒は自分について考えたこと、整理したりしたことの経験(指導)がほとんどないので、強みや価値観を言うに及ばず、経験についても棚卸しができていないことです。志願理由書・面接は、経験をもとに将来のビジョンを語り、志願先とそのことをリンクさせることがポイントです。この構造は高校受験でも、大学受験でも変わりませんし、就活においても同じです。しかしながら、自分のことについて考えたり、整理したりしたことの経験(指導)がない受験生は語れない、書けないのです。志願理由書作成・面接のフレームを提示されて、受験生は戸惑い、身動きが取れなくなっている生徒が多く見受けられました。中には、少しずつ取り組み始める生徒もいますが、多くの生徒がかなり苦戦します。それを受けて、次年度は秋から取り組み始め、自己認識による経験の棚卸しぐらいはしっかりやっていくこと、そして、本人だけでは難しいので、カウンセリングの手法を使って経験を引き出してやることをTfFの塾長へ提案しています。

 二つ目は、前述のこととも関連しますが、自分の人生について全く考えていない、もしくは考えたことがない生徒も見受けられることです。模擬面接を行っていると、与えられたその場、その場を生きてきただけで、自分の人生なんて考えたことがなかったと言わんばかりの回答が出てくることがあります。まるで、爆弾を抱いて地雷原に入っていく感じであり、1分に一度は爆発している感じなのです。質問に対して正対した回答でないことはもちろんですが、その本人の中においても矛盾だらけなのです。これは、自分の人生というものをつながりの中で捉えたことがないために起こる現象ではないかと推察しています。

 他県では、高校入試が面接で6割決まるという、先進的な受験改革行うところも出てきました。おおよそ、これから受験についての大きな流れはテストだけではなく、面接などを重視する、つまり、これまでに何を経験し、これから何をしたいのかに重点を置いた試験が少しずつ広がっていくのではないでしょうか。そうなると、面接は、従来の「なんちゃって面接」ではなく、キャリア的な観点からの面接でなければならないでしょう。

 そんなことを考えながら、面接指導に当たっています。とりあえずは、今回出会った生徒たちにとって、入試という機会が生徒たちのキャリア開発・成長につながるものになるようにという思いを秘めて取り組みたいと思います。

代表理事 横田 秀策

Page Top