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今ありて

2023.3.25

 福岡も、桜の開花宣言が出ました。卒業式・入学式に合わせるかのように桜が満開となるのも、もうすぐです。

今ありて

 春の「センバツ」甲子園大会も開幕しました。夏の甲子園の大会歌といえば「あゝ、栄冠は君に輝く」です。「雲はわき、光あふれて~」とずっと歌い継がれています。いろいろな想いのある方がいらっしゃると思いますが、私が通った高校は、「いつかは、甲子園で、校歌を歌うんだ!」といって入学式の翌日から校歌を叩きこまれました。おかげで、卒業後、約20年経った甲子園球場で、初めて母校の校歌が流れたときは、涙を流しながら校歌斉唱したのを昨日のように覚えています。

 さて、春の大会歌も「今ありて」というのがあります。阿久悠作詞、谷村新司作曲という名曲です。馴染みの薄い方もいらっしゃると思いますので、歌詞を引用します。

 1、新しい季節(とき)のはじめに  新しい人が集いて

   頬(ほほ)そめる胸のたかぶり   声高(こわだか)な夢の語らい

   ああ 甲子園 草の芽 萌え立ち   駆け巡る風は  青春の息吹か

   今ありて 未来も扉を開く  今ありて 時代も連なり始める

 2、踏みしめる土の饒舌(じょうぜつ)  幾万の人の想い出

   情熱は過ぎてロマンに  花ふぶく春に負けじと

   ああ 甲子園 緑の山脈(やまなみ)  たなびける雲は  追いかける希望か

   今ありて 未来も 扉を開く   今ありて 時代も連なり始める

 私自身、この歌詞に感銘を受けるまでに、時間がかかりました。感銘を受けたのは、2011年春のセンバツ決勝のときでした。折しも、2011年3月11日は東日本大震災で、甚大な被害を受けたときです。この年、九州代表の九州国際大学付属高校は初めて決勝まで進むことができました。不肖、私の母校ということもあり、甲子園球場まで行って応援いたしました。対戦相手は、東海大相模高校でした。甲子園には魔物がいるといわれていますが、応援一つで「吞み込まれる」というのを肌で感じました。一矢報いて、9回裏に得点を入れましたが、結果は大敗でした。

 閉会式の中継は、テレビでご覧になられたことのある方が多いかと思います。最後は、大会歌が流れて球場を後にします。甲子園球場のオーロラヴィジョンに、歌詞が映し出され、大会歌の斉唱が始まりました。私も、声に出して歌いました。社会情勢、時期的なもの、それらを包含しているような歌詞と私は感じまして、恥ずかしながら涙を流しながら歌ったのを今でも覚えています。多くの方は、「だから何?」と思われるかもしれません。甲子園の応援歌で「サウスポー」「狙い撃ち」をはじめ、多くの応援歌となった阿久悠さんの甲子園球児に対する「想い」というのをこの歌詞に込められているのをひしひしと実感しました。

 「今ありて 未来も扉をひらく 今ありて 時代も 連なりはじめる」、このコロナ禍からようやく次が見え始めました。時は進むしかなく、戻ることはできません。「今ありて」次がある、「今」を大事に生きてほしい、そうすることで未来も扉が開くものと私も思っています。

 私自身、高校3年生と予備校時代2回「センター試験」(現在の共通テスト)を受験しました。2度目のとき、思ったように得点が取れず、本当にこの世の終わりと思っていました。しかし先日、この話をした際、代表理事の横田さんから「けど、今があるよね」と言われ、はっ!としました。確かに、言われてみれば、この世の終わりと思っていたのは自分自身だけで、世の中は平常に動いており、私も生きているということは「今」があります。「キャリア」というのは、「今まで」「今」「今から」すべてを指すものだと思います。「今ありて」、「今があるから」という自信をもって羽ばたいてほしいものです。

正社員 中村 拓昭

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