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「適当」という人間のかしこさ

2022.6.25

 雨が降ったり、急に晴れたりと気まぐれなお天気の梅雨の合間にこのブログを書いています。

「適当」という人間のかしこさ

 来月上旬に娘が2歳の誕生日を迎えます。妊娠がわかって喜んでいたところにコロナ禍となり、外出できないもどかしさと闘いながらもあっという間の日々でした。

 ついこの間までずっと泣いていた赤ちゃんだったように記憶していますが、人間の成長スピードは凄まじいもので、最近は一人ですべり台の高い階段を登って降りたり、色の名前をたくさん言えるようになったり(大好きなみかんを指さして「オ~レンジ!」といった時にはひっくり返りました)、食べ終わった空のお皿をキッチンに持ってきてお辞儀をしたりと書き出したらキリがないくらい、できることが増えました。

 最近はアンパンマンからミッキーマウスに推しが移り、ヘアゴムを3つ並べて「ミー!ミー!」と叫んだり、公園の砂場でねだられて、3つ〇を書くと同じようにミッキーマウスだと認識して喜んだりしています。どうしてその形だけでわかるのだろう?と不思議に思っていたところ、謎を解決してくれる本と出合いました。

 池谷雄二(2017)『パパは脳研究社 子どもを育てる脳科学』クレヨンハウス です。(扶桑社から新書版も出ています。

 この本は池谷先生の第一子であるお嬢さんの0~4歳の育児記録(成長の気づき)とともに、脳の発達を通じて脳の働きについて考える解説書でもあります。比較する必要はもちろんないのですが、お嬢さんの発達が早すぎて育児の真っただ中にいる私は初見で落ち込んでしまいました。ですが、たくさんの気づきを得られる素晴らしい本に変わりはありません。

 本文中に「適当という人間のかしこさ」と題されたコラムがあります。トリは写真を撮ったように正確に風景を覚えるので、少し風が吹いて葉などが動いて見え方が変わるだけで別物に見えてしまう。「百舌鳥の速贄」は獲物を刺したことを忘れてしまうのではなく、まったく違うものに見えているからわからなくなるのだそうです。その点人間はゆっくりと曖昧に覚えるので「使える記憶」が形成されてゆきます。記憶は正確すぎると実用性が低下し、いい加減で曖昧な記憶の方が役立つというのは興味深いことです。

 そんな人間でも記憶力の良い人ほど、想像力がない傾向があるそうです。なぜなら、記憶力に優れた人は隅々までよく思い出せるため、覚えていない部分を想像で埋める必要がないからです。記憶力の曖昧さは想像力の源泉と知り、娘は今ヘアゴムや砂に書かれた〇と戯れながら、想像力を鍛えているところなのだと実感しました。

 日々様々なことに追われて余裕のない日々ではありますが、目の前であっという間に大きくなっていく娘の成長を、少しでも丁寧に見つめていきたいと思います。このブログにもまた気づきをお知らせ出来たら幸いです。

           理事 吉次 恵美

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