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校長というマネージャーの経験

2024.4.26

校長というマネージャーの経験

 ご存知の方も多いと思いますが、横田の前職は中学校教員で、最後は小学校の校長でした。校長というポストにはそれほど興味はなかったのですが、学校を変えるためにはなるしかないと思い、目指しました。しかも、校長になったのは小学校という、自分の専門領域とは少しズレたところでした。中学校時代の教員仲間からは「苦労するなぁ〜」「かわいそうだぁ〜」と思われていたようですが、今から考えると、その経験は貴重なものになっています。それは、少しズレたところで校長という職を経験したことが次の2つの点で貴重だったようです。

 まず、一つ目は、校長というマネジャーを経験したことです。現在、企業研修を担当することもありますが、当初考えていたよりリーダー研修・幹部研修の依頼の割合が多いのです。リーダー研修・幹部研修はマネージャー経験があるなしで大きく違います。もちろん、依頼そのものがあるかないかということもありますが、内容を考える時に校長というマネージャー経験が大いに活きています。校長としてより良い学校づくりを進めるために、組織開発についても学んだことがリーダー研修・幹部研修に活きているわけです。また、組織と人は切り離せないので、組織が活性化するために人をどう育てたら良いか、人が成長するために組織をどうしたら良いかについて学ぶことは面白く、そこに横田の興味・関心があることがやっていくうちにわかりました。当法人はキャリア教育・開発を活動の核としていますが、今でも組織開発についての学びはボチボチ継続してやっています。その姿をメタ認知すると、やっぱり、組織開発という領域を横田は好きなのだ、大切と思っているのだということがわかります。

 二つ目は、少しズレたところでの経験の点からもっと重要なものだと言えますが、中学校教員の自分が小学校で校長をしたという経験です。学校外から見るとわかりにくいと思いますが、中学校と小学校では組織だけでなく、カルチャーを含めてかなり違いがあります。その違いの大きな理由は、子どもの発達段階が違うことはもちろんですが、担任が学級の授業を全て賄う小学校と、教科ごとに授業担当が変わる中学校の違いにあリます。その組織性やカルチャーの違う小学校で学校改革・教育改革を進めるとなると、経験論では全く通用しないわけです。いくら中学校での経験で語っても小学校では通用しないのです。これは、見た目には日本人と同じなのに、歴史や文化が違う中国や韓国で日本の経験を語っても、それはグローバルな世界や多様性を理解するために役立っても、その国の政治や社会を変えるためにはそれほど役に立たないというものに近いものです。

 では、どうやって変えていくのかといえば、きちんと組織や組織のあり方、その中での人の成長などについて学んで、それを活かして変えていくしかないわけです。そのために組織開発についても学んだのです。その結果、現在では組織開発だけでなく、越境学習などについてもある程度見識を持つことができ、それが今の仕事に活きているわけです。

 このように、校長というマネージャー職の経験は、当時は上述のような効果を狙っていたわけではないけれど、結果的に今の自分にとても活きています。まさにクランボルツ博士のラーニング・ハプンスタンス・セオリーです。そう考えると、校長をさせていただいた教育の世界、そして、その当時一緒に働いてくれた職員には感謝しかありません。自分の改革に付き合ってくれた子どもたちにも感謝です。そして、校長としての経験が無駄ではなかったと感じることができる現状を支えていただいている、周りの皆様にも感謝です。

代表理事 横田 秀策

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