学校でレジリエンスを育てるには?
2024.2.26
今年は例年以上の暖冬となっており、なかなか冬らしい日が少ないと感じています。冬が決して嫌いではない自分としては少々寂しいと感じていますが、みなさまはどのようにお感じですか。
先月の担当ブログではウェルビーイングについて書きました。ウェルビーイング実現のために欠かせない二本柱がありますが、その一つがレジリエンスです。レジリエンスは、いわゆる回復力、折れにくい心などのことです。ネガティブな出来事に出会っても、落ち込んだ状態から元の状態に戻したり、できる限り良い心の状態を持ち続けたりする力のことです。人生は良い出来事ばかりではありません。時には、失敗したり、困難に陥ったりして、ネガティブな心の状態になることがあります。その程度をいかに浅くできるか、そして少しでもダメージを少なくして回復できるかが、ウェルビーイングにとっては大切です。それでは、学校で児童・生徒・学生のレジリエンスを育てるためのポイントは何なのでしょうか。
まず、レジリエンスを構成する要素としては次のようなものが挙げられます。
・強みの活用
・ポジティブ感情の活用
・ネガティブ感情のコントロール
・楽観性を持つ
・自己肯定感の育む
・自己効力感を育む
*上記について、詳しくは拙著『ウェルビーイングな学校づくりのためのポジティブ心理学』(2023年、アルテ)で述べています。
結論から先に言えば、学校における児童・生徒・学生のレジリエンスを育てるためのポイントは上記の領域における取り組みをシステムの中に組み込むことではないでしょうか。特別な○○の授業に取り組むことも決して無駄ではないと思います。しかし、レジリエンスは、結局、意識や感情の問題なので、レジリエンスにつながる意識や感情を持ちやすいシステムの中で児童・生徒・学生が学んでいるのか、そうではなくて、レジリエンスを育むことを阻害しやすいシステムの中で学んでいるのかが大きなウェートを占めているのではないでしょうか。その点から考えると、現在の教育モデルを素早く転換することは急務だと言えます。
そこで、システムに組み込んでレジリエンスを育む例を一つ紹介します。今回紹介するのは「推し活」です。「推し活」とは、ざっくり言えば、自分が好きなもの、それがあれば元気がでるもの、夢中になれるものをしっかり追求することです。「推し活」をやっている人は、少々ネガティブなことがあっても、「推し」からエネルギーをもらい、回復します。つまり、レジリエンスが高くなるのです。クラスで月に一度、「推し活」大会みたいなものを開催し、月一で「推し」の自慢話や「推し」に自分が救われた話をする時間を取るだけで、クラス全体のレジリエンスは高まっていきます。また、クラスでのダイバーシティを進める上でも有効な手立てだと思います。
このように、レジリエンスを高める取り組みをシステムの中に入れ込むことが、児童・生徒・学生のレジリエンスを高めることになっていくのです。みなさん、何か一つ取り組んでみてはどうでしょうか。
代表理事 横田 秀策