うららかな春の日に…公務員と、教員と。
2022.4.11
新しい年度のスタートは役所や学校では人事異動だと言っても過言ではありません。皆さんの中にも、この春を転勤や転職で新しい職場で迎えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、転勤や転職がなく、前年度と同じ職場で4月を迎えた方も、新入社員を含めて新しい方を職場に迎えることも多く、多くの人にとってドキドキワクワクの季節だと思います。
そのような時期に、知り合いの方のFB投稿で自治体での中途退職者が増えていることに関してやりとりがあり、大変興味深く、読ませていただきました。大きなやりとりの筋としては、全国の自治体で採用に対する応募者が減り、中途退職者が世代を問わず増加している、この状況をどう捉えるかというものでした。ネガティブな面だけでなく、そのことによるポジティブな面にも焦点が当てられており、FBのやり取りのクオリティの高さも感じました。
このやり取りを読みながら、時代の変化を感じずにいられませんでした。つい数年前まで私は大胆にも、そしてざっくりと次のように話すことがありました(自治体にお勤めの方、間違っていたらゴメンなさい!)。「公務員で転職する方はあまりいませんよね。なぜなら、彼らはスペシャルなゼネラリストなんです。それぞれの部署に配属されると、その間、その業務の専門性が高まるのですが、次の職場に行くと、別の業務の専門性を高めないといけないんです。それを繰り返すことによって、自治体職員としての能力は上がるのですが、いずれかの領域で起業できるようなスペシャリストにならないんです。」と。現在の状況は、この解釈が当てはまらなくなってきたということです。
自治体の職員以上に、教員採用の応募状況は周知の通り、さらに厳しい状況、もっとはっきりいえば危機的状況にあります。データを確認しているわけではありませんが、ネガティブな理由での中途退職は自治体も教員もあまり変わらないのではないかと思いますが、ある志や思いを持って中途退職される方は自治体のようにまだ多くはありません。これは、自治体が社会と直結していることに対して、学校が直結しているわけではないことを表しているのかもしれません。私の知りうる限りでは、サイトの運営やICT教育でコンサルタントをされている数名の先駆者の方がいます。そして、この3月で教員・公務員を退職し、SDGs Association熊本の代表理事の神田みゆきさんです。環境省と熊本県から「地球温暖化防止活動推進センター」の指定を受け、活動に取り組まれます。このように、最近では社会や学校外の人とのネットワークから、新しい船出を迎えられる方が出てきました。学校という世界にも新しい波が入りつつあり、今まで以上に社会とのつながりが求められるようになってきた、強くなってきたという証ではないかと思います。
また、そのことは、一方で、学校、そして教師という職業にとって大きな課題を示しています。それは、社会と見えない壁が高い状態では、応募倍率の低下という課題に留まりますが、見えない壁が低くなってくると、志や思いを持って学校という世界を出る方、つまり志を持った中途退職者が増えることが予想されるということです。まさに、自治体の中途退職者をめぐるやり取りで交わされていることが、教師についても当てはまるようになるということです。
では、どうすればいいのか。このハイレベルな適応課題を解決していくためには、私は学校が、本当の意味で「幸せを目指す教育活動を行うところ」になることしかないのではないかと考えています。Well-beingな学校、Well-beingな教育ということです。学校の働き方改革もそのライン上にあることが大切ではないでしょうか。
現実を考えると、Well-beingな学校までにはまだまだ遠い道のりです。現職ではない自分ができることは、キャリア教育を通じて学校教育をサポートすることです。今後、一層気持ちを入れてサポートしていこうと、うららかな春の日に新たな気持ちが湧き起こりました。
代表理事 横田 秀策