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協心戮力(きょうしんりくりょく)

2022.7.25

 専門学校で教科を担当することになって久しく、かれこれ26年にもなるでしょうか。その間、教える科目も時代の要請によって少ずつ変化して来ました。

まだまだインターネットが社会の趨勢でなかった頃、私の科目は「ビジネスマナー」と呼ばれていました。挨拶の仕方やお辞儀の仕方、敬語や電話応対が中心でした。1990年代の後半から2000年代に入って所謂、就職氷河期と呼ばれた時代を経ると、私の科目は「就職対策講座」と呼ばれるようになっていました。履歴書の書き方、面接応対。どうすれば少ない正社員の椅子を確保できるかというノウハウに重きが移って行きます。

 就職氷河期が落ち着くと、職業人として長い人生をどのように生き抜いていくか。本当にやりたい事を仕事にする。そのやりたい事とは何かを探す旅に学生と共に出発することになりました。同時に私にとってそれは、自分自身のキャリアを築く旅とも重なって行きます。

 会社に入社するだけのノウハウから、キャリア教育へ。その過程で私自身がキャリアコンサルタントとなり、レジリエンストレーナーとなり、リーダーシップ開発力育成を手掛けるようにSHIFTしてきました。

協心戮力(きょうしんりくりょく)

 今、時代はチームワーキングの時代と言えます。このブログの表題である「協心戮力」、力と心を合わせて、互いに協力して物事に取り組む時代です。今、私たちが生きる社会は「VUCAな時代」と呼ばれています。先日の横田代表理事のブログにもあったようにVolatility(変動性)が高く、Uncertainty(不確実)で Complexity(複雑性)を孕み、Ambiguity(曖昧)である。このような時代では、とても一人のリーダーの能力だけでは乗り切っていくことはできないでしょう。チームの構成員一人一人がチームに影響力を与え、互いの能力を引き出し高めるチームワーキングが要求される時代なのです。

 昨年に入ってから「心理的安全性」という言葉が書籍やネット上で散見されるようになりました。今年に入ると何やら私の検索ワードでは「心理的安全性」が上位に入ってきています。

 これもまた、チームワーキングが必要と見なされている証拠であろうと思います。他人とともに在るからこそ、「心理的安全性」が必要とされるのです。知り合いの心理学者の方はご自身の著作で、『二人以上の関係であれば、オンラインや地域のコミュニティ、友だちの集まり、学校、家族、親子など、すべてのつながりに当てはまる』(「心理的安全性の高め方」松村亜里著)、と書かれています。

 そのような影響もあってか最近、講義の中にグループワークを組み込むことが多くなっています。簡単なクイズ形式のものから始めていき、徐々に難易度の高いワークに取り組んで行きます。ここ、私のお気に入りは、みんながそれぞれに課題のヒントを持っていて、上手くそれを聞き取り、組み合わせて行くことでしか解答にたどり着けないタイプのワークです。

 そのようなワークでは、必ず誰もが当事者の一人として参加し、回を重ねる毎に参加すること自体を楽しむようになってくれます。私には、学生のそのような変化がとても愛おしく感じられるのです。お互いを尊重し合い誰もが他人の話しに耳を傾けざるを得ない。そんな空気感を大事にしながら、現在新しい科目を模索中です。勿論、リーダーシップを主体としながら。


専務理事 由木 千尋

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