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流れを作る、そしてバトンを渡す

2022.11.25

 

流れを作る、そしてバトンを渡す

 ようやく秋の気配も深まり、冬の訪れが近づいてきたような季節になりました。今年も残すところ、あと一月。皆さんにとって、今年はどのような年だったでしょうか。

 自分自身の今年を振り返ると、今まで感じたことがなかったことを感じていることが一つあります。それは、キャリア教育の担い手となる学校の先生が育ってきたということです。本当のキャリア教育が普及するための大きなポイントの一つはキャリア教育を担える先生がいるかどうかです。外部の方でキャリア教育に熱心な方はおられますが、キャリア教育が普及し、学校が今後望ましい方向へ変わっていくためには教師の存在が欠かせません。ようやくその存在が育ってきつつあるのではないかと感じています。

 まず、JCDA福岡地区会で学校全体のキャリア教育をサポートしている中学校のA先生。A先生はコロナ禍が始まった2年前、2年生のキャリア教育担当として自分と関わるようになり、自分が当時勤めていた小学校へ打ち合わせとして3回ほど来られました。打ち合わせはもちろん行うのですが、大変熱心で途中からキャリア教育への質問を中心にしてミニレクチャーのように毎回なりました。今回、保護者を社会人講師とし、学年の先生がファシリテーターを担当して生徒たちが取材をし、それを学級に持ち帰って報告するというスタイルのキャリア教育の授業を開発されました。自分たちの手でキャリア教育の授業を開発する、しかも本当のキャリア教育の授業です。その授業の中には、キャリアインタビュー、キャリアラインシート、社会人講師の価値観グラフなど、今まで学ばれたツールをしっかり活用しています。
 A先生以外にも、A先生と同じ学年で、今年の異動で他の中学校へ移られたB先生。こちらは、前任校でキャリア教育を核として生徒たちが変容したことが忘れられず、学校を異動してもどうしてもやりたいと校長先生を説得し、自分へオファーがありました。B先生からの依頼ということもあり、個人的にキャリア教育をサポートさせていただくことになりました。B先生と同じく、今年、異動されたC先生。こちらからは、コロナ禍前までやっていた学習会をもう一度やってほしいという依頼をいただき、学習会の復活へとつながりました。
 これらの3人の先生に共通しているのは、いずれも自分の思いからアクションを自分で起こしたことです。「人は育てることができるのか、それとも育つのか」という話が人材育成の世界にありますが、自分は人を育てることはできないと思っています。育つための環境整備などは周りの人間でできると思いますが、最終的に育つか、育たないかは、その方が自らの思いでアクション起こすことができるかどうかがポイントである気がします。自らアクションを起こした人は、つまり、成長するステップへ行動を自ら起こしたということであり、そのことは成長のための必要条件なのではないかと思います。キーポイントは自己決定性が働くかどうかというところです。

 今年もそろそろ終わりの時期、締めくくりの時期になってきました。今年の総括をと尋ねられれば、自分の回答は次のとおりです。
「キャリア教育を担える先生が出てきた。より多くの先生が担えるような流れを作る。そして、その先生たちにバトンを渡す。これが今から数年の自分のミッションです。そのきっかけの年でした。」

代表理事 横田 秀策

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