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Escort runner−伴走者−

2023.2.10

 (一社)FCC  GROOVEは児童・生徒から若年者層を対象としたキャリア開発・支援を中心として活動しています。しかし、私個人としては、どういうことか大人のキャリア成長・支援の場に立つことも多くなりました。しかも、昨年秋からはシニアのキャリア開発・支援に関わるようになりました。先日、その事業を担当している企業様からのメールで「アンケートを見ていても、横田様のセミナーから気づきがあったという意見が多く、○○県内シニアの方々にとって有意義な時間になったことと思います。」といただき、少しでも役に立てたことに喜びを感じました。このことから、自分の中にあった仮説みたいなものが、ひょっとしたら正しいのではないかと確信に近づくことができました。それは「キャリアの課題は子どもも大人も同じ。ただ、発達段階が変わるだけで、見ている景色や使っている言葉が変わるだけ。」というものです。つい2年前までは小学生を対象として仕事をしていた人間が、シニア対象でもある程度評価をいただけるということはやっぱりそうなのかという感じです。

 さらに、児童・生徒とシニアのキャリア開発・支援でもう一つ共通するところがあるように思います。それは、キャリア開発・支援のエスコート・ランナー(Escort runner)、伴走者にならなければ、効果的なキャリア開発・支援にならないということです。

 児童・生徒を対象としたキャリア開発・支援にとってのキーパーソンは間違いなく学校の先生です。したがって、児童・生徒へのキャリア学習を担当させていただいた時も、日頃の学校生活で児童・生徒のキャリア開発・支援を行う先生の育成を意図しているのは当然です。当法人としてではなく、JCDA(日本キャリア開発協会)福岡地区会として、CDAの仲間と三年間のキャリア教育をサポートさせていただいている福岡市立友泉中学校での取り組みは当法人での取り組みの発展形だと言えるでしょう。3年間、先生の相談を受けながら、できるサポートを行うことで、友泉中学校の生徒のキャリア開発・支援を行っていることになります。

 なぜ、このような継続的なサポートを行うようになったのか、その答えは先生のキャリア教育のエスコート・ランナー(Escort runner)、つまり伴走者ならなければ生徒のキャリア開発・支援が進まないと考えたからです。年に一度、もしくは3年に一度程度、イベント的にキャリアに関する学習を担当する場合、生徒の納得・関心は得られても、キャリア的に成長させることは困難です。やはり、日常の学校生活の中でキャリア開発・支援を意図した関わり合いを先生に深めていただくことで、初めて成長させることができるのです。そう考えると、キャリア開発・支援において、生徒のエスコート・ランナー(Escort runner)=伴走者を先生が務めることができるようになることがどれほど重要かおわかりいただけるのではないでしょうか。

 それはシニアのキャリア開発・支援でも同様です。シニアの思考が固まりやすいのは脳の働きから考えて十分ありえることです。この問題も大きな壁なのですが、もう一つの大きな壁は孤独に陥りやすいことです。キャリアチェンジを一緒に考える仲間、新しい能力・スキルを身につける仲間がいないことも大きな壁となります。いわゆる「緩やかな紐帯」の話になりますが、その紐帯の中でも大きな役割を果たすのがキャリア開発・支援を行うエスコート・ランナー(Escort runner)です。伴走者がいるか、いないかが走れるかどうかのティッピングポイントにもなりかねません。

 こう考えてくると、一生を通してキャリアにおけるエスコート・ランナー(Escort runner)=伴走者の存在は大きなものだということです。それは、「緩やかな紐帯」と言われる仲間が担ってもよいのでしょう。世の中の多くの人にとっては何がしかのエスコート・ランナー(Escort runner)=伴走者の存在が必要なのです。

代表理事 横田 秀策

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