文月
2023.6.25
7月を古語では「文月(ふみづき、ふづき)と言います。稲の穂が実る月、穂含月(ほふみづき)とも呼ばれるようで、旧暦で「文月」はもう秋の始まりの頃と言う事です。
実際の暦では(6月末)九州地方はまだ梅雨明けもしておりませんが、夏の盛りを過ぎると徐々に秋の足音が聞こえて来るのでしょう。
梅雨の頃と言えば、私はなんとなく源氏物語の「帚木(ははきぎ)」を思い出します。丁度、雨の降る日の宿直をしている光源氏をはじめ頭中将、左馬頭、藤式部丞たちが集まって女性の話をする。有名な冒頭「いずれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」の「桐壺」に続く第二帖がこの「帚木」です。
「帚木」は古来、信濃国園原状屋にある木で、遠くから見れば箒を立てたように見えるが、近寄ると見えなくなるという伝説の木だそうです。それに女性をなぞらえて、「こんな女性がいい。こんな女性が理想だ。中々理想通りの女性はいない」。などと、現代から見ると「なにを勝手なことを言いよる!」とおしかりを受けそうな事を語り合う場面です。
源氏物語と言えば、来年のNHKの大河ドラマが「光る君へ」という、紫式部と源氏物語を題材としたものになるそうなので、楽しみに待ちたいと思います。
さて、何故「源氏物語」の話をするのか。私としては少し考える所があるからです。
先日、国家資格キャリアコンサルタントとの更新講習で、「価値観分析のあり方」という講習を受けましたら、その宿題に「これからの人生でやってみたいこと20個書き出しましょう」という課題がありました。はて、困った。例題には「世界一周旅行に行く」「小説を書く」「自分の葬式を企画する」とありました。そう改めて考えると、本当にしたいことが思い浮かばなかったのです。
ワークでペアになった方が、共通項のとても多い素敵な方で、二人してそう考えると「趣味と言えるものもない」と言う話になりました。「向こう十年続けられる趣味を見つけることが目標です」。と言われるので、私も自分にとって十年続けられる趣味とは何か考えることになりました。2年前まで「趣味はテニス」と言っておりましたが、今は身体の不調で走ることができなくなり中断しています。好きなこと・・・。純粋に好きなこと。???
そこで、あれこれ考えて、やはり「退職後は仏教を学ぶ。できれば大学院で本格的に学んでみたい。ついでに、源氏物語の中の仏教的世界観を研究するのはどうだろう。」唐突ですが、そう思えたのです。そして、此処にこう書けば現実になりそうな気がしています。それを「Self Fulfilling Prophecy(自己成就的予言)」と言うそうです。「頭にあること」が「行動」に影響し「結果」に影響する。だから、敢えて宣言しておきました。
専務理事 由木 千尋