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キャリア講演におけるファシリテータの役割

2023.7.11

 いよいよ梅雨も末期に入り、暑さも本格的になってきました。学校もいよいよあと少しで夏休みに入ります。個人的には、夏休みにはライオンズ・クエストの講師としてあちこち飛び回ってワークショップをさせていただく忙しい期間です。その隙間で、就労支援事業や学校でのキャリア教育の講師をさせていただきます。今頃になって、体力が持つかどうか、心配になってきています(笑)

 この夏の学校でのキャリア研修の依頼に、福岡市が作成しているチャレンジマインド動画を使った学習のファシリテーションというものがあります。福岡市は、もともとアントレプレーナーシップ教育として、起業家を中学校へ派遣し、講演していただいていました。その際、ファシリテーターをつけて、授業を行っていました。コロナ禍で学校への派遣ができなくなったため、チャレンジマインド動画を作成し、視聴する学習に変更したわけです。コロナ禍のため、やむを得ない面がありますが、多分、このまま動画視聴でいくのでしょう(単なる予測です)。

 起業家が生徒を前に話をするだけでも、生徒のキャリア開発・成長に役立たないわけではありませんが、どうしても効果的なものは望めません。それは、あくまで起業家の方がその方のナラティヴ(解釈の枠組み)で話されるからです。中学校の段階の生徒にはそれぞれナラティヴ(解釈の枠組み)が形成されてきています。そうすると、見える世界が違いすぎたり、意味がすれ違っていたり、当たり前にするのです。そこを補完していたのがファシリテーターでした。言い換えれば、起業家の講演は、起業家と生徒の間で行われるのですが、そのキモは起業家とファシリテーターの打ち合わせにあったのです。優れたファシリテーターがついていた場合には、生徒のキャリア開発・成長にとって効果的な学びとなりますが、なんちゃって?ファシリテーターの場合には、いかに優れた起業家でも生徒のキャリア開発・成長にとって今一の学びとなってしまうのです。そう考えると、ファシリテーターの役割が重要なのです。

 今回の依頼は、動画視聴して、先生方が授業をやると、「いいか、お前たち、わかったか?」だけで終わってしまう可能性が高いので、それをなんとかしたいというものです。

さて、どうしようかと、とりあえず、現在視聴することができるチャレンジマインド動画を10本ほど視聴しました。感想はあえてここで詳しく述べませんが、このような動画を作成するのは難しいのだろうなと制作している会社に少し同情しました。

 なぜ、そのように感じたのかというと、どうしても、職業紹介やお仕事紹介の内容が多く、生徒のキャリア開発・成長にとって何が必要なのかという視点が少し弱い感じがしました。これはチャレンジマインド動画だけに言えることではなく、学校におけるキャリア教育全体に言えることです。もっと、核心をついて言えば、自己認識(自己理解)が基盤になっていないのです。現在の学習指導要領のキャリア教育の基盤はドナルド・スーパーの考え方です。つまり、自己概念と、その成長なのです。しかし、それがほとんど意識されていない。もっと言えば、自己認識はTeachできると思っている、つまり、「本当の自分がやりたいことはなんなのか考えなさい」と言えばできると思っていると感じられるのです。

この続きは次回の担当回で…。

代表理事 横田 秀策

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