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ウェルビーイングな社会に向けて

2024.1.22

 今年は、年明け早々、大災害や大事故が起こり、自分はどうしたら良いのか、自分に何ができるのかを突きつけられた感覚と共に始まる年になりました。能登半島を中心とした地震の被災地では多くの方が亡くなり、未だ行方不明の方もおられます。亡くなった方のご冥福と、行方不明の方が少しでも早くご家族の元に戻れることを願うとともに、被災された方が少しでも早くウェルビーイングな状態に戻れることを望んでいます。

ウェルビーイングな社会に向けて

 ウェルビーイングを手っ取り早く言えば、持続的な幸福のことです。ハピネスと呼ばれるその時に幸福な状態ではなく、いろんな意味で長く、継続する幸せな状態、ストレスが少ない状態のことです。

 このウェルビーイングに向けたポイントについては、いろんな立場からいろんな考えがあると思いますが、個人的にはダイバーシティの進展(受け入れ)にあるのではないかと思います。ダイバーシティ、つまり多様性が進展した社会の状態になれば、いろんな多様性のある方が生き生きとその力を発揮することができ、ウェルビーイングの状態に近づくことは容易に想像できることです。もちろん、その状態が実現すれば全て問題がなくなるというわけではなく、また、新たな問題が生まれ出ている可能性もあります。しかし、ウェルビーイングな社会という場合に、ダイバーシティの進展は前提だと思います。

 そして、ダイバーシティの進展、多様性が活きる社会にとって大きな壁になるのが、ハラスメントであり、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)ではないでしょうか。少し違う角度から言えば、ダイバーシティの進展とアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は密接な関係があるとも言えます。それはアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は我々の脳の働きと大きく関係があるからです。

 我々の脳はとても複雑な作業を行えるスーパー装置です。しかし、スーパー装置であるが故に、エネルギーを爆食いします。脳は体重の約2%と言われていますが、グルコースというエネルギーの約20〜25%を消費します。つまり、とても燃費が悪いわけです。そのため、使わない神経回路はお休みさせるのではなく、自動的に切断していきます。逆に、よく使う神経回路はミリエン鞘という膜が張り、使えば使うほど膜は厚くなり、伝達効率が良くなります。よく、いつもやらないことや考えないことをすると疲れると言いますが、切れている神経回路を繋ぎながらやるわけですから、エネルギーを莫大に使うので、疲れるのは当然なのです。

 しかも、我々の脳は生存本能としてネガティブな出来事に反応するようになっていますので、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は脳のプログラムの結果ということになるのでゼロになることはないようです。しかし、放っておけば本人は気づかずにハラスメントに発展したり、差別や偏見を生み出したりするので、少しでも減らすことが重要なのです。

 ウェルビーイングな社会を実現するためには、ダイバーシティの進展が欠かせませんが、それは、我々の脳のプログラムとの戦いになってきます。そのように述べると、とても大変なことのようですが、それは日常生活、自分の身の回りから、意識して少しずつ取り組んでいくことができ、その積み重ねがウェルビーイングへとつながるのです。

 日本、そしてアメリカで偉大な記録を打ち立てた元プロ野球選手のイチローは次のような言葉を残しています。

小さいことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道だと思っています。

 この言葉は、より良い社会作りにも通じているようです。みなさん、一緒にウェルビーイングな社会を作っていきましょう。

代表理事 横田 秀策

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